作文を楽しく書かせる方法

国語の学力を高める方法

クラスの児童に作文を書かせる場合

Hiro
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私が教師の頃,私は作文指導が苦手でした。何をどうやって児童に書かせたらよいのか分からなかったからです。

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私が小学生の頃,担任の先生は,

「今日は作文を書きます。昨日の遠足について書いてください。原稿用紙1枚以上書きます。それでは,始めましょう」

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と,言っていました。(おそらくそうだったような?確証はありません。)作文をかくための具体的な指示は無かったように記憶しています。

Hiro
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もし何か具体的な指示をしていたら,私もその指示を現役時代に使っていたでしょう。私は教師になってから,作文を児童に書かせる場合,おそらく私の担任と同じような指示をしていたと思います。

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そんな指示では,子どもは作文を書けません。

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作文が苦に無く書けるのは,おそらく国語が得意でよく本を読んでいる4,5人の子どもだけだったと思います。その他の国語が好きではない子ども達は,作文をどうやって書いたらよいのかわからなかったでしょう。

Hiro
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おそらく,無理やり,何とかしてマスを文字で埋めていったのです。そうやって無理やり書いた作文が,読む人の心を打つわけがありません。たぶん,読んでもつまらない作文が多かったように思います。

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ところがある時,仮説実験授業関係の国語研究会に参加してみて驚きました。教えていただいた指導法を実践したなら,「もしかしたら,子ども達は作文を喜んでくれるかもしれない。」「もしかしたら,自分自身が楽しく作文指導ができるかもしれない。」そう思えるほど,自分にとって画期的な,自分が今まで想像できないような方法だったのです。

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その方法を紹介していただいたのは,当時「松戸たのしい授業の会」の佐々木邦道先生でした。今回,佐々木先生から教えていただいた内容を作文指導に限ってお伝えします。

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ただし,佐々木先生の方法をそっくりそのままではなく,自分なりにアレンジしているところもありますので,そこはご了承ください。

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作文指導に困っておられる先生がおられましたら,参考になるのではないかと思います。どうぞ,最後まで読んでいただけるようにお願いします。

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はじめにお断りしておきますが,この指導方法で作文指導の全てが解決できるとは思わないでください。作文指導の選択肢の一つくらいの軽い気持ちで読んでください。そして,実践においても,「子ども達が今より少しでも作文が好きになってくれたら嬉しいなあ」という位の気持ちで指導してくださることをお願いして,早速進めていきましょう。

作文は何のために書くのか

Hiro
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日本国の学習指導要領での国語の目標は次のようになっています。

言葉による見方・考え方を働かせ,言語活動を通して,国語で正確に理解し適切に表現する資質・能力を次のとおり育成することを目指す。
  1. 日常生活に必要な国語について,その特質を理解し適切に使うことができるようにする。
  2. 日常生活における人との関わりの中で伝え合う力を高め,思考力や想像力を養う。
  3. 言葉がもつよさを認識するとともに,言語感覚を養い,国語の大切さを自覚し,国語を尊重してその能力の向上を図る態度を養う。
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作文指導の目的は何でしょうか。自分なりに考えてみると,<自分の考えや気持ちを文章にして,相手に伝え理解してもらえるような思考力を養う>と言っていいのではないでしょうか。

Hiro
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さて,小難しいことは抜きにして,児童の生活や考えを自ら文章にして発表し,友達から作文の評価をしてもらい,次の作文を書くときにいかすことができることが大事だと思います。また,<児童が積極的に「作文を書いて誰かに伝えたい」という気持ちを持たせること>が教育的意義として一番大事なことだ,と私はそう考えています。

1.作文を誰に対して書くのか,相手を決める

Hiro
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誰に対して作文を書くか。同じクラスの児童に対して作文を書くことが,一番ハードルが低くて,教師も取り組みやすいと思います。

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児童に作文を書かせるときに,児童の作文を読んでもらう相手を決めないまま書かせることはありませんか。

Hiro
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せっかく書いた児童の作文を誰も読んでくれないなんて悲しいですね。相手は誰でもいいのです。

Hiro
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例えば児童自身のクラスの人や同じ学校の友達に校外学習や運動会などのことを書いて知らせようと思っても,その相手はだいたいのことは知っています。そんな人に作文を書いて伝えようなんて気持ちは,ほとんどおきません。

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でも,自分の家の誰かでもいいし,遠い親戚のおじさんやおばさんでも,従妹でもいいのですが,その人達は児童が経験した行事のことを全く知らないので,伝える価値はあると思います。なので,児童自身が選んだ相手に何か(例えば,自分が参加した運動会の様子)を伝える作文を書く機会を設けることは大いにあり得ると考えます。

もう一度ここで考えていただきたいのは,児童の周りには同じ年代の子どもが多くいるはずです。普段学習を一緒にする級友です。せっかく一緒に学習しているのであれば,自分が書いた作文を友だちと読み合うような作文指導があってもいいと思います。同じクラスで学習していても,クラスの友だちの全てを知っているわけではありません。もちろん同じ行いや物事に対してもいろいろな考え方があるわけですから,作文を読み合って考えを交流する時間も作文指導といっても良いと考えています。
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繰り返します。同じクラスの児童に対して作文を書くことが,一番ハードルが低くて,教師も取り組みやすいと思います。

2.他の児童が書いた楽しい作文をたくさん読んであげる

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はじめは,児童に作文は書かせません。作文を書かせなかったら,何をするの?と疑問に思われるかもしれません。じゃあ,何をするのか。作文を書かせないで,楽しい作文を児童にたくさん読んであげるのです。

佐々木先生は児童に読み聞かせするための,児童が書いた作文を20編用意してくれました。その中の1編をここに紹介します。あと19編の作文も読んで楽しい作文になっていると予想していただいて結構です。

(作文例1) 「ばくちくあそび」        4年  A君

冬休みの時,たこ公園にぼくと,ぼくの妹のまあちゃんと,となりのしんちゃんという子ととなりのあっ子ちゃんという子とで,遊びに行きました。

向こうについて,すべり台で遊んでいました。

すると中学生くらいの二人の人が,大きいマッチ箱くらいの箱を二つ持っていました。その人たちが中をあけると,ばくちくが200個くらい入っていました。しんちゃんにぼくが,

「すごいな」

と,いうと,しんちゃんが,

「おっ」

と,いいました。

すると,お兄ちゃんたちが,何かこしょこしょ話をしていました。すると一人のお兄ちゃんが,

「おっ,やろうか。おもしろいから。」

と言いました。

すると,ポケットからライターを出しました。それから,ばくちくに火をつけて,ぼくらの方にほってきて,ぼくのひざの上にのりました。ぼくとしんちゃんは,あわてて逃げました。ぼくが,

「こわかったのう,しんちゃん。」

と,いいました。しんちゃんが,

「おっ」

と,いいました。

それで,すべり台をおりると,すべり台の下でまちぶせをしていたので,またさかのぼりすると,

「こわかったの」

と,ぼくが言いました。しんちゃんが,

「おっ」

と言いました。

また,すべり台の下から,ぼくらのしらん間に,ばくちくをぼくらの後ろにおいていました。すると後ろで,すごく大きく,

「バンッ」

と,いったから,ものすごくびっくりしました。ぼくが,

「びっくりしたの」

と,言うと,しんちゃんが,

「おっ」

と,言いました。ぼくが,

「中学のお兄ちゃんに言いにいこうか」

と,言うと,しんちゃんが,

「おっ」

と,いいました。

ぼくらが,すべり台をおりていって,お兄ちゃんに,

「やめといて!」

と,言ったら,お兄ちゃんの一人が,

「こいつらなまいきや。もっとやろうぜ」

と,言いました。あわてて逆のぼりして,ぼくが,

「しんちゃん,おいらもやるけ」

と,言うと,しんちゃんが,

「おっ」

と,言いました。

「おまえ,『おっ』しかよう言わんのか」

と,ぼくがしんちゃんに言うと,しんちゃんが

「おっ」

と,言ってわらいました。

むこうがほってきたのをつかんで,またむこうにほうり返してやったら,むこうで大きく,

「バンッ」と,いいました。

「あいつらにくそい。もっとやろうぜ」

と,一人の方が言いました。

それからもうれつな戦いになりました。

「やっと勝ったの」

と,言うと,しんちゃんが,

「おっ」

と,言いました。

ぼくの妹のまあちゃんと,となりのあっ子ちゃんは,そんなことなんにも知らんと,ブランコで遊んでいました。

帰りしな,しんちゃんとそのことをあっ子ちゃんらに話しました。(終わり)

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一つの作文を読んだ後で,児童が聞いた作文の感想の交流をクラスでします。

例えば,こんな風に児童に問いかけます。

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爆竹って知っていますか。(知っている子どもに説明してもらう。全員が知らなかったら教師が説明する)みなさんにもこの作文のように,同じような経験はありませんか。私は,こんなことをされたことがあったんだ!なんていうことを友だちに知らせてください。(何も出てこなかったら,教師の体験を教えてあげてください)

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このように,作文を20編くらい読んであげます。作文を読むたびに,作文の内容と関係あるような体験談の交流をクラスの子ども達とします。まだ十分に時間があれば,また作文を児童に読んであげるのです。

読んだ後,その20編の作文の題名を模造紙か何かに記入して教室に貼りだしておいてください。題を読めば内容が思い出せるようにしておくのです。そうすることで,作文を書く内容を考えることができます。

3.作文を書く内容を児童が決める

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作文の読み聞かせをしている期間,おそらく2~3か月は必要になると思います。その期間に児童自身が作文を書く時の<題(タイトル)>を決めてもらいます。

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作文の題が決まるということは,内容もほぼ決まっていると考えていいです。作文の題が決まった児童は,掲示板に張っている自分の名簿のところに題を書いてもらいます。8割くらい(全員の題が埋まるのがベストです)作文の題が埋まったところで,

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「〇月〇日に作文を書いてもらいます。」

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と宣言します。その時,題が決まっていない人は,その日までに考えてもらいます。なかなか決まらない児童は先生と相談してもらいます。休み時間や給食の時間に先生と児童が相談しながら,何を書くか決めていきます。例えば,こんな感じです。

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「あなたは,習い事をしていますか。その時何かおもしろいことは無かったかな。みんなが知らないようなことです。どうですか?」

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「あなたは何かペットを飼っていますか。そのペットのおもしろいところとか世話の大変さとかありませんか?」

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「あなたは,兄弟姉妹はいますか。何かおもしろいことはありませんでしたか。昔の話でもいいですよ」

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などと話して,児童が作文に書く場合の話題を探るようにします。そして,必ず書く題を決めさせてください。

4.1時間で作文を書いて,その後,作文発表会をします

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1時間の作文の時間を使って,作文を書いてもらいます。早く書けた児童は読書して静かに待ちます。1時間で書けなかった児童は,宿題にします。

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全員が作文を書けたら,後日,作文発表会をします。

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全員が発表します。発表する前に,作文大賞を1位から3位まで決めることを知らせておきます。要は,人気投票をするということです。全員の発表が終わった後,自分で一番気に入った作文の題名を書いて投票してもらいます。このときの開票は,当時私が一人でして結果だけを児童に発表していました。投票で何かトラブルがないようにしたかっただけです。もちろん,児童の前で開票してもOKです。

作文発表のときは,一人の児童の発表が終わったあと必ずその作文に対する質問を受け付けます。その後,同じような経験がある児童には,その内容を発表してもらいます。作文の題名は模造紙に書いておいてください。いつでも作文の内容が思い出せるようにするためです。
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作文発表会の一番最後(発表会に2,3時間必要かもしれません)に,1位から3位までを表彰します。賞状などがあれば盛り上がるかなと思いますが,無くてもOKです。

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作文発表を続けている間にも第2回の作文の題を書いてもらいます。2回目の作文を書く時までに2~3週間の時間が必要になるかもしれません。これは,1年間コンスタントに続けます。1年間で3回から4回くらいは作文が書けると思います。児童の作文は必ず,個人の作文ファイルに綴っておいてください。(クラス文集を作るための準備です)

5.その学年の最後,文集を作ります

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この作文指導を続けていると,年間で一人につき4編くらいの作文ができます。その4編の中から一番気に入っている作文を清書してもらい,マス刷りしてクラスの作文集として児童に配ります。その学年の記念としてよい思い出になることでしょう。下の写真は,自分がつくった文集の一部です。

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最後に作文についての感想を児童にアンケートとして聞いても良いと思います。佐々木さんも作文についてのアンケートを児童に書いてもらって,結果を文集に載せています。

 

 

 

 

 

6.番外 作文の書き方の多様性を学ぶ

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これは,時間があればの話です。また,児童が作文を好きになったらの話です。作文の書き方をいくつか教えてあげます。詳しいことは省略します。

  • クライマックス(一番書きたい部分)から書く
  • 会話から書く
  • 起承転結を考えて書く
  • 手紙風にして書く
  • 話者を決めて書く(一人称または三人称)

クラスで児童に読書感想文を書かせる場合

1.書く相手を決める

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この場合も,友だちに本の内容を教えるように書かせるのが一番取り組みやすいと思います。

2.一番読みたい本と似たような本の2冊読んで,読み比べる形で感想文を書く

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本を2冊読むととても書きやすくなります。比べられるからです。読みたい本のよいところ,よくないところがよくわかります。

山本式作文指導

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佐々木先生は,大阪の山本正次先生に学んでおられます。そこで山本先生の山本式作文指導の骨子を紹介しておきます。

①やる気があれば

あなた自身が「楽しく作文を書いてもらうようになりたい」と思っているかどうかです。だれかからいわれて,渋々やろうとしているではないということです。目的意識を持っているかどうかです。

②自分をしばれ

時間割の中に「国語」と表記するのではなく「作文」と書きなさい,という意味です。「読書」という項目は時間割にいれることはあると思いますが,「作文」とは書きませんよね。そんなことをやったら,自分もいやだし,子どももいやだろうなあと想像しているからです。そして,「今日は作文ね」なんていうと「エー,書くことなーい」なんて反乱されたりする。運動会が終わったからといって,運動会の作文を書かせようとするとまた反乱される。行事作文は書かせない方がよいです。

③たくさん書かせない

「もうちょっと長くしてきて」とか「今日は原稿用紙1枚以上書きなさい」とか,長さにこだわるはないということ。もし,短く書いてきたら,その話はそれで終わりです。そうしたら,また別のこと,別の題について書き始めれば良いのです。

④作文好きにするには作文を書かせない

「書け,書け」と急かせて書かせるのではないということです。書かせないんだったら何をやるのか?というと,「楽しい作文をたくさん読んであげなさい」ということ。作文というと「書かせる」という連想しますが,「読む」ということ,「聞く」ということも,立派な作文指導だという認識です。

佐々木さんの感想

私自身が山本先生の読む作文を楽しみにしていたように,子ども達も,私が読んであげる作文を楽しみにしているのです。私が山本さんの講演を聴いていて,「へー,いい作文だな,その子,どんな子なんだろう」とか「とっても良い表現をしていて,すばらしい」とか私が思ったように,クラスの中の児童も,私が読んであげる作文を聞きながら,いろいろなことを感じてくれます。
「大阪綴り方の会」というのがあるらしいんですが,その会では,1学期間,ずっと書かせなかった先生もいたそうです。書きたくなるまで待つんだ,そういうことです。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

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山本さんは読み聞かせをする作文を51編集めたそうです。その中から多様性になることを配慮して20編を厳選して作文配列をしたそうです。その資料が,佐々木邦道著「国語授業への招待状~読み聞かせ作文からの一点突破~」(平成16年当時700円)というガリ本(ガリ本というのは自分で編集して,自分で作った本のことです。なので50部とか,部数が限られています)に載っています。私が現役のときは,このガリ本に大変助けられました。

Hiro
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最後まで読んでいただき,ありがとうございました。

 

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