
トッド氏はフランス人でありながら,西洋中心主義ではなく第三者の目で世界を既成概念なしで見ている感じがしています。家族構成の在り方という新しい基準で社会を見ると,今まで見えなかったものが見えるようになるというのです。

明治以来,西洋から学問(科学)や法律,経済,軍隊組織,鉄道,郵便制度,教育制度,電気などありとあらゆるものを日本人は学んで,日本社会に取り入れてきました。

今でも日本人の多くは「西洋の国々は,社会のあらゆることに対して先進的で素晴らしい」と考えているのではないでしょうか。西洋は,世界の新しい常識さえも牽引してきたのではないかと私は思っています。

ところが,トッド氏は西洋人なのに(だから?)今までと異なる新しい考え方をしています。

このレポートでは,トッド氏の新しい考え方をあなたにご紹介できたらと思います。いつものように,いくつかの問題をあなたに解いていただきながら,トッド氏の考え方に迫っていきたいと思います。よろしくお願いします。

トッド氏は,『「家族の在り方」の違いが,個々人の行動,社会の教育水準,経済活動,政治体制などに,多大な影響を与えている――これを私は最初,ふとしたきっかけで“発見”しました』
と,書いています。

ここで,問題です。

正解は,ウ.「共産圏の地図」と「外婚制共同体家族の分布図」が一致することに気づいたから,です。

それはどのような内容だったのでしょうか。本書18ペから抜き書きして,詳しくみていくことにしましょう。

冷戦期の頃のことです。自宅のソファーに寝転がっていたところ,ソ連,中国,ベトナム,ユーゴスラビア,アルバニアなど,「共産圏の地図」と「外婚制共同体家族の分布図」が一致することに突然,気づいたのです。「共産主義革命は工業化社会のプロレタリアート(労働者階級)によって実現される」というマルクス主義の公式的言説に反して,実際の共産主義化は,工業化以前の「外婚制共同体家族」の社会で起きていたわけです。工業化やプロレタリアートの存在と関係なく,親子間は権威主義的で兄弟間は平等な「外婚制共同体家族」が,権威主義的で平等主義的な共産主義イデオロギーと親和性をもっていたのです。この発見が,「家族構造」と「政治体制」を関係づける私の方法論の出発点となりました。

と,書いています。
ここで,トッド氏の考える家族類型を見てみましょう。

ここで,問題です。

正解は,イ.共同体家族が一番進化した形である,です。

最も原始的なのが「核家族」という発想に驚きました。トッド氏に言わせると欧米の「核家族性度」は原始的だそうです。逆に,中国やロシア,トルコ,イラン,アラブ地域など「共同体家族」が新しい家族制度だということです。

共同体家族が進化した形態だとしてもそれだけですばらし家族形態とは限りません。本書26ペからトッド氏の意見を書いてみます。

西洋人は,「最も進んでいる」と思い込んできたわけですが,西洋の科学技術的・経済的近代は,むしろ太古的な家族システムに符号していることです。「西洋人」とは,その習俗においては,人類の古い共通基盤,原初の時代に地球の各地に暮らしていた狩猟採集民たちからさほど遠ざかっていない「未開人」なのです。反対に,かつて文明の発祥地だったユーラシアの中心部ほど家族制度が進化しました。進化してしまったがゆえに,ある時点で歴史の発展が止まってしまったのです。

ここで,問題です。

正解は,ア.女性が採集したものは家族内に留め置かれたのに対して,男性が狩猟で得た獲物は,地域の集団のなかで分配されたから,です。

当初は「文明化の指標」だった「女性の地位の低下」が,人類史のある時点から,「社会の発展の阻害要因」となったわけです。「個人としての女性」の自由が制限されるところでは,実は「個人としての男性」の自由も制限されます。夫婦や個人を父系の親族関係の中に閉じ込める共同体家族のような家族形態では,男性も,囚人のような存在,個人としての自立性を失った“子ども”のような存在になってしまうのです。

と,トッド氏は書いています。
ここで,最後の問題です。

正解は,ア.イ.ウ.の全てです。

今の日本は「老人支配国家」だと書いています。女性の地位については,このシステムでは,核家族より低下しますが,大きく低下するわけではないそうです。特権化されるのは長男だけで,他の息子たちは娘と同じように処遇されるからです。共同体家族のように,男女がはっきり区別されるわけではないのです。

今の日本を考えると「直系家族」だからこそ,教育水準が高く知識や技術が伝承されてキャッチアップが得意だが創造的破壊ができない,そのため老人支配に陥りやすくなるということでしょう。

しかし,今の日本の現状の原因がわかったところで何の問題の解決になりません。ただし,問題を正しく認識できると解決の糸口が見えてくることも事実です。それこそ,「矛盾がもって自らを解決する方法」を探し出さなくてはいけません。

社会が硬直化し,にっちもさっちも動けなくなったときに効果を発揮するのは新しい何かの発明・発見です。明治時代,硬直化した江戸時代から救ったのは西洋の新しい学問(科学)に裏打ちされた技術や制度でした。

今の日本に必要なものも,それは直系家族制度をも打ち破る強力な新しい何かです。それはAIの技術によって開発されるであろう<量子コンピュータ>かもしれません。AIの技術によってもたらされる何かが日本を救えるような気がしています。

もう少し突っ込んだお話を続けると,それは限りなく無料で使えるエネルギーのような気がします。そえが宇宙太陽光発電なのか核融合発電なのか,今の私にはわかりません。おそらく,近い未来に新しい技術が発明・発見されるはずです。

「家族システム」という新しい物差しを使って世界を見ることによって,今までの概念を覆した全く新しく見える世界があることをトッド氏は私たちに教えてくれています。

進化した家族制度で作られた国家に対して,その国は良いとか悪いとかいう発想はよくないと思います。その国の国民がどんな国にしたいのか考えて,国の制度を変えていったらいいだけの話です。お互いの国の制度を認めることから世界の平和が始まるのではないでしょうか。

ロシアとウクライナの戦争についてのトッド氏の考えについて,改めてあなたにお伝えさせてください。どうぞ,ご期待ください。
最後まで読んでいただき,ありがとうございました。

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