ヒロじい教えて!感情について
みうちゃん、何か浮かない顔してどうしたの?何か心配なことでもあるのかな。
じいじ、さっき、ママに怒られたの。
へー、みうちゃんでも怒られるんだ。
何を怒られたの?
あのね、ママから『学校から帰ったら洗濯物を入れといてね』って言われてたの。ところがその日は宿題が多くて、学校から家に帰ったらすぐに宿題を始めて、洗濯物を入れるのを忘れてしまったの。
なんだそんなことか、ママもひどいね。それぐらいで怒るなんて。
違うの、じいじ、まだ続きがあるの。
何があったの?
その日は夕立があって、しかも風が強くて、洗濯物がみんなぼとぼとに濡れちゃって・・・。
それは大変だったね。
家族の布団も全部濡れちゃったの。
えー、布団もかー。うーん。
布団もぼとぼとか、これは困ったな。
ママにひどく怒られちゃって、落ち込んでたの。
一生懸命宿題してたのにね。かわいそうに。
でも、私が悪いし、これから気をつけます。おじいちゃんに話したら気持ちが楽になっちゃった。不思議。
人は話すことで、自分の行いを客観的にみられるようになるしストレスも軽減されるらしいからね。
じいじ、また難しいこと言って!
でもママにもおじいちゃんからひとこと言っておくよ。
言わなくていいよ。自分が悪いんだから!
みうちゃん、感情ってわかるかい?
知ってるよそれくらい。泣いたり怒ったり、うれしかったりすることでしょ。
よく喜怒哀楽って言うよね。その感情についてお話しようかなと思って。
どんなことか私にも教えて。
いいよ、お話しよう。
人間は感情を持つ動物なんだ。人間が感情を持つにいたった進化論的な原因はあると思うし、感情を持つことが何かに対して有利なはずなんだ。それは考えないことにして話を進めるよ。人間は時に、この感情に支配されるときがある。
先日のことだけれど(2018/04/11)滋賀県河瀬駅前の交番で警察官になって2年目の巡査が41歳の巡査長を拳銃で撃ち殺すという痛ましい事件が起こった。巡査長は若い警官の教育係だったそうなんだ。TVのニュース解説によると若い警官は、巡査長に怒鳴られたので犯行にいたったということだった。
私はこのニュースを知って、警官が自分の拳銃で相手の警官を撃ち殺すなんて信じられなかった。この若い警官は、おそらく自分の脳が自分の感情に支配されていたのに違いない。つまり冷静な判断ができなかったと推測する。
感情には、恋愛感情のように誰にも迷惑をかけないようなものもある。夫婦愛や家族愛、動物愛、植物愛なども感情の一種だといってもよいだろう。しかし、度を超えた感情は人の考え方を支配してしまう。何か事が起こるたびに、それに対する感情を抱いてもよいのだが、いつも冷静に第3者的な見方をして進めていかなくてならない。
警官の例でいうなら、若い警官は怒鳴られることが嫌であったなら、教育係の巡査長に『怒鳴らないで教えてください。教えていただければ、ちゃんとします』と言えばよかったかもしれない。あるいは、第3者に相談してもよかったかもしれない。当事者でないので何とも言えないが、相手を殺すこと以外で解決をする手だてについて感情を抜きにして考えなくてはいけなかったことは明らかなんだ。相手が嫌だからその相手を殺してしまうという、あまりに単純な考え方におじいちゃんは恐怖を覚えるね。殺された巡査長に家族があったとしたら、若い巡査の行動が巡査長の家族の運命を大きく変えることになるだろう。逆に、この若い巡査は一生この罪から逃れることはできないし、若い巡査の家族の運命をも大きく変えてしまうことになるかもしれない。感情に支配されない生き方を常に心がけなくてはいけないと思うんだ。
ところでみうちゃん、人はなぜ怒ると思う。
嫌な時、自分の思い通りにいかないときかな?
そうだよね、自分の思いが伝わらなかったり、意地悪なことをされたりしたときに怒るよね。人は怒って相手の行動を支配したり変えようとしたりするんだよ。
国同士がする戦争もよく似ているね、戦争という暴力で相手の国の考え方を変えるんだよ。
人は、感情的に言われても自分の行いを変えようとは思わない。逆に行いを変えるもんかと思ってしまうときもある。
じいじは、みうちゃんのママに怒ったりしないで、冷静にどうしたら忘れないようにできるか、教えるか、相談するか、してほしいと伝えたいだけだよ。
怒ると、お互い嫌な感情になってしまうしね。よく身内には厳しい人がいるけど、逆に身内には感情を抜きにしていつもやさしく接していかないといけないよ。だって一番大事な人だからね。
私も怒って人に文句を言うのはやめにするわ。
難しいけど、感情抜きで自分の気持ちを伝えることは大事だよね。でも布団は大変だなあ。
これから忘れないようにメモをするか,先に言われたことをするかして,気をつけます。
それでいいよ。