Hiro
この『文明の衝突』を読んで,地球規模での政治・経済・宗教の在り方や働きを言葉で分かりやすく著者が説明していることに,私は驚きました。30年近くも前に世界の動向を予想していたことになります。
Hiro
哲学者のフリードリヒ・ニーチェは著書『ツァラトゥストラはこう語った』や『悦ばしき知識』の中で「神は死んだ」と言いました。反対にハンチントン氏は,宗教は心のよりどころとして民衆の中に生き続けるだろうと言っています。
Hiro
イスラム教を信仰する人々の増加は,イスラム教を信じる人々の自信につながり世界の安定に対する大きな脅威になっています。また,西洋的な文化や産業は100年前から衰退の道を歩き始めていて,東アジアやBRICS※(ブリックス)などの国々の台頭により世界の不安定化につながっています。
【BRICS※(ブリックス)とは、ブラジル(Brazil)、ロシア(Russia)、インド(India)、中国(China)、南アフリカ(South Africa)の5か国の頭文字を組み合わせた言葉です。新興国のグループとして知られています。】
Hiro
私は以前から,「世界の国々は,なぜ戦争をするのだろう」と考えていました。兵士はもちろんのこと多くの子どもや女性・老人が亡くなるような戦争を政治家(国の指導者)は実施してきました。
Hiro
ロシアとウクライナ,イスラエルとパレスチナのように,現に今(2025年7月現在)も戦争が実行されています。ここに戦争についての私の考えを書いておきます。
【各国の指導者たちは大きな歴史の流れの中で,自分たちの国の未来を考えているということでしょうか。(日本の政治家の場合は,自国の未来など何も考えていないのかもしれません。彼らの頭の中はいつでも今だけ,自分の利益だけ,対米従属だけです)だからこそ,未来の自国のために(それは政治的,経済的,領土的,邦人保護的なことかもしれません)今,相手国と戦争をしないと将来的に自国に大きな損失(人命が失われることも含める)を被ると判断するからでしょう。もしかしたら,その戦争は歴史的に長い目でみると意味の無いことかもしれません。当たり前ですが,国の指導者は国民の個々の現在や未来など考えていません。指導者の立場(命令できる側)と国民の立場(命令される側)は異なるので,戦争に対しての考え方も異なるということになります。世界中の全ての人が国という組織の中で生きている以上,人という個人は組織の中でしか生活きません。ということは国同士が戦争をする場合には,個人で戦争を避けることはできないことになります。仮に戦争を避けることができるとしたら,そのためには,その国のほとんどの国民が政府の動向や考え方について常に目を向けている必要があります。SNSやデモンストレーション等を通じて自分の意見を政府に対して表明することも大切でしょう。それが戦争を回避するためのはじめの第一歩になると考えますが,どうでしょうか。というような内容を書いていたのですが,この本を読むと,私の考えは浅かったことが理解できました。戦争には,民族や宗教・文化といった固有の問題が理由にありました。つまり,自分たち(民族や宗教や文化等を一にする)の勢力を広げようとしたり,相手を支配しようとしたり,自分たちの生き残りのために争うということです。日本人には分かりにくいところではありますが,この争いはキリスト教やイスラム教,ヒンズー教などの世界では常識のような気がしています。そんな争いについて,残念ながら歴史が証明しています。要は,今のままでは戦争は無くならないだろうということです。ただし,この世界から戦争を無くすためのヒントは,この本の中に書いてありました!】
Hiro
この世界から戦争を無くすためのヒントについて,後ほどあなたにお伝えします。
Hiro
質問.あなたは,この世界から戦争を無くすにはどうしたら良いと考えますか?難しい質問ですが,一度考えてみてください。
あなたの考え:
Hiro
それでは,これからハンチントン氏の考える世界観について私が設定した問題を解きながら考えていくことにしましょう。問題には選択肢がありますので,気楽に考えてくださるよう,お願いいたします。
Hiro
先ず,文明の定義をはっきりさせておきたいと思います。人によって,文明に対してのイメージが異なると考え方を共有できないからです。
Hiro
ハンチントン氏によるとても長い文明の定義を抜き書きしてみます。
<ハンチントン氏による文明の定義>
文明は最も範囲の広い文化的なまとまりである。村落や地域,民族集団,国籍,宗教集団などはすべて,さまざまな文化的異質性を含みながら,固有の文化をもっている。
南イタリアのある村の文化は北イタリアの村のものとはちがうかもしれないが,両者ともイタリア文化を共有していて,そのためにドイツの村落とは区別される。そうかと思うと,ヨーロッパの地域社会は共有する文化的な特徴によって,中国やヒンドゥー教の社会とははっきり区別される。しかし,中国人もヒンドゥー教徒も西欧人もそれより広い文化的まとまりの一部を構成しているわけではない。彼らは文明を構成しているのである。すなわち,文明は人を文化的に分類する最上位の範疇であり人類を他の種と区別する特徴を除けば,人のもつ文化的アイデンティティの最も広いレベルで構成している。文明の輪郭を定めているのは,言語,歴史,宗教,生活習慣,社会制度のような共通した客観的な要素と,人びとの主観的な自己認識の両方である。
文明には明確な境界もないし,正確な始まりと終わりがあるものでもない。
文明は持続するが発展もする。栄えたり衰えたりするし,結合するかと思うと分裂する。文明は姿を消して,ときに埋もれてしまうこともある。
文明は文化的なまとまりであって,政治的なまとまりではない。
現代の主要文明は以下のようになる。中華文明・日本文明・ヒンドゥー文明・イスラム文明・西欧文明・ロシア正教会文明・ラテンアメリカ文明・アフリカ文明(存在すると考えた場合),以上。
Hiro
ハンチントン氏は『文明の衝突』の中で,短い文章で世界を端的に表現しています。それが,次の文章です。
新たな時代を迎えつつある世界で,異なる文明に属する国々や集団の関係は,緊密になるよりも対立することが多い。そして,ある異文明間の関係は,他の関係よりも紛争が起こりやすい傾向にある。ミクロのレベルで最も激しいのは,イスラムとその周辺の東方正教会,ヒンズー教,アフリカおよび欧米のキリスト教との対立である。マクロのレベルで見れば,最も激しい対立は「西欧とその他の国々」のあいだのもので,そのなかでも激しい紛争は,イスラムやアジア社会と西欧のあいだで起こっている。今後,危険な衝突が起こるとすれば,そえは西欧の傲慢さ,イスラムの不寛容,そして中華文明固有の独断などが相互に作用して起きるだろう。
Hiro
氏族(しぞく:先を同じくする血族集団),部族,民族,宗教的コミュニティ,国家のあいだの戦争は,いつの時代にも,どの文明圏でもたびたび起こった。そのような戦争は,人間のアイデンティティに根ざしているからである。
※
Hiro
内戦が時として悲惨になるのは,人間のアイデンティティに関わる基本的な問題に関係しているからでしょうか?人間にはアイデンティティが必要です。自分はどんな人間であるか証明してくれる何かが必要なのです。アイデンティティが無い人は根無し草のような生き方になることが多いと思います。人間にとってアイデンティティは重要なものの一つだと私は考えています。
Hiro
問題1.ハンチントン氏は,西欧の敵はどこだと考えているでしょうか。次の選択肢から1つ選んでください。
予 想
ア.中国
イ.イスラム世界
ウ.南米世界
エ.東アジア世界
オ.その他

Hiro
Hiro
西欧にとって,基本的な問題はイスラムの原理主義ではない。問題はイスラムそのものなのだ。それは異なった文明であり,そこに所属する人びとは自分たちの文化の優位をかたく信じていて,国力が劣っていることが不満でならない。一方,イスラムにとって問題なのは,CIAとかアメリカの国防総省ではない。問題なのは西欧そのものなのだ。それは異なった文明であり,そこに所属する人間は,自分たちの文化が普遍的であると確信し,衰えつつあるとはいえ,自分たちには優勢な国力があるから,その文化を世界中に広げるのは自分たちの義務だと考えている。これがイスラムと西欧の紛争に火をつける根本の問題なのだ。
※
Hiro
バンドワゴニングとバラシングという安全保障用語があります。それぞれ,以下の意味です。
バンドワゴンは、力の弱い国が力の強い国と組むことで安全保障上の恩恵を受けようとする行動形式を指す。バンドワゴン効果は、勢いのある方に人々が集まる現象を言い、「勝ち馬に乗る」と表現されることもある。バンドワゴンに対置するのがバランス(勢力均衡)であり、勢力均衡は力の弱い側と組むことで脅威となる勢力に対抗するのに対し、バンドワゴンは力の強い側と組むことで利益を獲得することを目的としている。
Hiro
サミュエル・ハンチントン氏が言う「フォルト・ライン(fault line)」とは、異なる文明(civilizations)が接する境界線のことを指します。彼は、冷戦後の世界ではイデオロギーや経済体制よりも、文化や宗教に基づく「文明」同士の対立が主要な対立軸になると主張しました。
※フォルト・ラインの意味と特徴
「フォルト・ライン(断層線)」はもともと地質学の用語で、地震の原因となるプレートの境界を意味します。ハンチントン氏はこの言葉を比喩的に使い、次のような文明間の緊張や対立が発生しやすい地域を表しました。
-
異なる宗教や文化が接する場所
-
長い歴史的対立を抱えている地域
-
紛争が起きやすい境界地帯
Hiro
問題2.ハンチントン氏が言う世界戦争を防ぐ最も確実な方法とは何でしょうか。次の選択肢から1つ選んでください。
予 想
ア.アメリカのような大国による安全保障
イ.国ごとの軍事同盟による均衡
ウ.文明にもとづいた国際秩序
エ.その他

Hiro
正解は,ウ.文明にもとづいた国際秩序,になります。ハンチントン氏は,次のように書いています。
世界の主要宗教――西欧キリスト教,正教会,ヒンドゥー教,仏教,イスラム教,儒教,道教,ユダヤ教――によって人類がどれほど分裂しているにせよ,これらの宗教もまた重要な価値観を共有している。人類が世界文明を発展させることがあるとすれば,それはこうした共通の特徴を追求して拡大していくことによって徐々にあらわれてくるだろう。そんなわけで,不干渉ルールと共同調停ルールに加えて,多文明的世界の平和のための第三のルールは共通性のルールである。あらゆる文明の住民は他の文明の住民と共通してもっている価値観や制度,生活習慣を模索し,それらを拡大しようとつとめるべきなのである。こうした努力が役に立って文明の衝突が抑えられるだけではなく,単数形の文明が強化されることにもなる。
※
Hiro
日本国は,世界の覇権を握る力も計画も無い,と私は考えます。日本国は,遥か昔から「和」を大切にする国であり,人口は1億人程度(この先,日本の人口は5千万人程度まで減少すると予想されている)であり出生率が低下する,老人大国だからです。
Hiro
これから先,今の渾沌とした世界の中で日本国がどうやって生き残ったらいいのか,真剣に国民が考えなければいけません。まずは,日本国は対米従属をやめて真に独立する必要があります。日本国を外国(中国やロシア,北朝鮮等・将来的には米国も含まれる)から守るだけでも相当なエネルギーが必要です。もしかしたら日本にとって経済的損失が一番大きいかもしれません。それを覚悟してやり遂げられる知恵のあるリーダーが日本には必要です。そして,日本人としての誇りを再構築し,日本的な民主主義を打ち立てる必要があります。日本は島国であり,降水量も多く,自然豊かであり,「和」を大事にする日本人が覚悟を決めたらおそらくできると思うのですが,どうでしょうか。ただし,日本には石油や天然ガスのようなエネルギーがありません。核融合やメタンハイドレートによる発電,効率のよい超太陽光発電などを開発できたら経済的に有利になるかもしれませんが,何とも言えません。私が考えていることは,残念ながら単なる夢物語なのかもしれません。
※
Hiro
正直に言いますと,エマニュエル・トッド氏の本を読んだ後に,このハンチントン氏の『文明の衝突』を読むと,私には物足りませんでした。文明が衝突するというのは,素直に考えると当たり前のことだからです。その点,エマニュエル・トッド氏が言う,各国の家庭の構成を国の在り方まで広げて考えるその思想に敬意を表します。誰もが考え付かないような全く新しい視点だからです。『文明の衝突』を読んでみて改めて,トッド氏の卓越した思考を学べたことに感謝します。
Hiro
読みはじめた頃,私は以上のように考えていましたが,『文明の衝突』をよーく読んでみると,私の考え方は間違っていたことが理解できました。ハンチントン氏は,世界の未来を冷静に予想していたのです。世界の国々の戦争と平和については,かなりの確率で予想できるのです。(少なくとも私は,予想できると考えています)今の日本の国会議員の方々は,おそらくこんな勉強などしていないと思われます。いつも自分達の党のための法案(国民のための法案では無い!),官僚が自分たちのために作成したような法案,あるいはアメリカから「こうしろ!」言われた通りの法案を国会に提出(提案)しているのではないでしょうか?ハンチントン氏は,深く世界の文明について学んでいます。この本を深く学ぶだけでも大学の博士課程の一つに十分なり得るのではないでしょうか?政治家にとって,この本は国際政治を学ぶためのはじめの一歩にすぎませんが・・・。
Hiro
シンガポールのウィ大統領は,シンガポール人の価値観について4つあげました。
「自己より社会を上に位置づけること,社会の基礎をなす単位として家族を支えること,主要な問題点は論争ではなく合意によって解決すること,人種や宗教についての寛容さと調和を尊ぶこと」
であります。政府は,シンガポールが「重要な点ではアジアの社会」であり,そうでありつづけなければならないと強調しました。
「シンガポール国民はたとえ英語を話し洋服を着ていても,アメリカ人ではないしアングロサクソン人でもない。長い間に,シンガポール人がアメリカ人やイギリス人やオーストラリア人と見分けがつかなくなり,さらに悪いことに彼らのへたな模造品になり下がってしまえば,これまで西欧社会よりもすぐれた点によって国際的に自分の立場を堅持できたにもかかわらず,その優位を失うことになるだろう」
と,述べました。
Hiro
同じように日本人は,日本人にとって何が大切なのかを考え,日本人としてのアイデンティティを再認識し,共有しなくてはいけないのではないでしょうか。今の日本は,第二次世界大戦の敗戦国として政治や文化・経済が西洋化してきました。今のままでは,ウィ大統領がいうように日本国は優位を失うことになるかもしれません。つまり,アジアの中の日本を意識し,「和」を尊ぶ日本人としの考え方を持ち,自分たちの文化を大切にしなければ日本は,「暗黒時代」に陥ってしまうかもしれません。
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