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スコット・キャロル著『the four GAFA 四騎士が創り変えた世界』の紹介その2Apple

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生活の知恵

GAFAとは,

グーグル,アップル,フェイスブック,アマゾンの頭文字を組み合わせた造語です。「この4社は世界征服をすでにしてしまった」と筆者は書いています。内容を簡単に紹介してみます。以下の文章は,全て私が本から適当に抜粋したものです。※印の後の文章は,私・ヒロじいの考えになりますので,ご注意ください。

2.アップル―ジョブズという教祖を崇める宗教

2015年12月,カリフォルニア州サンバーナーディーノで職場のパーティーがあった。そこで銃乱射事件があり14人の職員が死に,21人が重傷を負った。容疑者は死んだ。FBIは犯人のiPhoneを入手した。FBIはそのロック解除を申請し,そのためのソフトウェアをつくるよう命ずる連邦裁判所命令が出された。アップルはその命令を無視した。アップルは裁判所の命令に従うべきという私(ギャロウエイ)の意見に対して,ヘイトメールが届くようになった。しかも想像を超える数のメールだ。

消費者の生活を重視する人は,誰もがアップルの味方だ。若い民主党支持者(大学の学位を持つミレニアム世代)は地球を受け継いだだけでなく,MITの工学部卒業者とハーバード中退者に導かれ,その地球を征服したのだ。彼らがアップルを支持するのは,同社が自分自身の独立独歩,反体制,進歩的な理想を体現しているからだ。共同創設者の一人であるスティーブ・ジョブズがチャリティーに一切関わらず,ほぼ中年の白人しか雇わず,ひどい人間だったことは都合よく忘れてしまう。なんといってもアップルはクールなのだから。さらにいうなら,アップルは革新者だ。だから連邦政府がその行動を無理に変えようとしたら,アップル信者たちは体を張って守ろうとする。私はそれにはくみしない。

スティーブ・ジョブズはイノベーション・エコノミーのキリストとなった

物体がスピリチュアルな目的に使われるとき,それが神を崇めるものとして神聖視されることはよくある。スティーブ・ジョブズはイノベーション・エコノミーのキリストとなった。彼の輝かしい偉業であるiPhoneは彼を崇めるための道具となって,他の物体やテクノロジーの上位にたてまつられている。このように我々はiPhoneに熱狂し,その過程で新たな企業過激主義への扉を開いてしまったのだ。実際,スティーブ・ジョブズ時代のアップルは,アメリカの他の企業には許されなかった行動が許されていた。ある時点からアメリカ国民とアメリカ政府は,ジョブズとアップルはもう法律で縛らないことにしたのだ。それは,ジョブズが死ぬまで続いた。

ビズネス史上最大のイノベーションに乗り出した

21世紀最初の10年,ジョブズがアップルに帰還したのち,同社はビズネス史上最大のイノベーションに乗り出した。その10年でアップルは世界を揺るがし続けた。1000億ドル(10兆円)規模の新たなカテゴリーを生み出す製品やサービスを次々と打ち出したのだ。それがiPod, iTunes, アップルストア,iPhone, iPadである。このようなものはそれまで存在しなかった。

アップルはいつも他者からインスピレーションを得る

アップルはいつも他者からインスピレーションを得る(アイデアを盗むときの常套句だ)。近年のアップルがインストールを得ているのはぜいたくな高級業界である。アップルは希少性を追求して並外れた利益を得るようになった。アップルのスマホ市場のシェアは,台数では14.5%にすぎない。しかし全世界のスマホの利益の79%を独占している。

ぜいたく志向は我々の遺伝子に組み込まれている

ぜいたく志向は人間の外部でつくられるものではなく,我々の遺伝子に組み込まれている。カトリック教会は何百年も前から建造物(店舗)の力を知り,戦争や驚くべきスキャンダルにも耐えるブランドを築き上げた。ぜいたく品を欲しがるのはなぜか。それは自然選択と,そこから生じる欲望と羨望のなせるわざだ。力を持つ者のほうが,住居,ぬくもり,食物,そしてセックスの相手を手に入れやすい。男は子種をまき散らすようにできている。だから我々の中の原始人が,ロレックスやランボルギーニを――そしてアップルを欲しがるのだ。そして下半身で考える原始人は,人の気を引くチャンスのためにおおくの代償を支払う。

10代の少年だったルイ・ヴィトン

1830年代に貧しい10代の少年だったルイ・ヴィトンは店よりも博物館に置くのがふさわしいほどすばらしいものをつくる腕があった。創業者は普通,職人階級から生まれる。彼らは幸いなのか災いなのか,幼いころから自分がなすべきことを知っている。そこに選択の余地はない。アートとアートの大衆化によって,ブランドが活気づき続いていく。この業界の派手さや浅薄さに皮肉な見方をする人は多い。しかしポルシェ911を運転してみればいい。ブルネロ・クチネリの服を着てみればいい。そのとき,自分の視線がいつもより鋭く,意志がいつもより固いと感じるはずだ。

アイコンとしてのスティーブ・ジョブズの力

イノベーションのアイコンとしてのスティーブ・ジョブズの力について理解するために,若いころのエルビスプレスリーを思い出してみよう。彼がもし20代で死んでいたらどうだっただろう。少なくとも彼が白いベルボトムの衣装を着て,ラスベガスのステージをよたよた歩く姿を見るはめになることはなかった。アイコンは死ぬと,毎日の生活(年をとることも含め)につきまとう批判を免れる。これはブランドにとっての理想だ。もしタイガーウッズが凡人として世間に忘れられるのではなく,不倫騒動のときに妻の車で轢き殺されていたらどうだろう。ナイキにとってタイガーウッズというブランドの価値はどれほど高くなっただろうか。アイコン的な創業者が,実生活でろくでなしであろうが,そんなことはどうでもいい。アップルはそれを証明した。世間はスティーブ・ジョブズをキリストのようなヒーローとして祭りあげている。2011年にジョブズが死ぬと,世界中が嘆き,何千人もがインターネットに追悼の言葉を書き込んだ。アップル本社,店舗,そして彼が通っていたハイスクールの前にまで信者が集まった。これはアイコン的な創業者を神格化,スターを聖人にする儀式だった。それ以来,アップルのブランドはさらに明るく輝いている。

スティーブ・ジョブズは「宇宙をへこませた」

スティーブ・ジョブズは「宇宙をへこませた」<少しでも世界を変える>とよく言われる。しかし,そうではない。私の意見では,スティーブ・ジョブズは宇宙に唾を吐いたのだ。宇宙をへこませているのは,毎朝起きて,子どもに服を着せ,学校へ行かせ,子どもの幸せのためなら何でもするという人々だ。世界にもっと必要なのは,まじめな親たちのための家であって高性能なばかげた電話ではない。

アップルストア

2001年,アップルはバージニア州のタイソンズコーナーに初の店舗を構えた。ほとんどの専門家はあきれた。店舗なんて過去のものだ,と彼らは言った。インターネットこそが未来だ。アップルが当時その行動を起こしたとき,ほとんどの人がそれを失策だと思った。しかし,その店舗はたしかに,テック業界を変えた――そしてアップルを高級品へと押し上げた。ニューヨークの5番街やシャンゼリゼを歩くと,ヴィトンがあり,カルティエがあり,エルメスがあり,そしてアップルがある。これは人の心をつかむ販売法だ。ブランドが経営する店舗は,そのブランドにとっての神殿となる。アップルの成功の決め手になったのは,iPhoneではなくアップルストアなのだ。アップルは高級ブランドとして独自の地位を確立している。製品の売り上げから生じる何十億という儲けは,独自の複雑な経路を経て,アイルランドなどのタックスヘイブンに戻る。アップルは史上最も高い利益を上げている企業の1つでありながら,アメリカの税率という厄介ごとに悩まされることはない。

Hiro
Hiro

※筆者は,アップルに成熟した教育界を変えてほしいと切望しています。50年間何も変わっていないのに授業料だけが高騰している。教育の主眼は創造性――デザイン,人文科学,芸術,ジャーナリズム,教養――であるべきだと。世界は今STEM教育(科学,技術,工学,数学の教育分野を総称する)へと猛スピードで向かっている。将来は創造的な人たちのものだ。彼らはテクノロジーを力に,形,機能,そして人々をそれ以上のもの――美しく刺激的な――として思い描くだろう,と書いています。アップルが教育に参入することは無いだろうと私は考えますが,今一番遅れているのは教育の世界であることだけは,同感です。近い将来アップルを脅かす会社が出てくるのでしょうか。あるいは,GAFAをも飲み込むような会社があらわれるのでしょうか。未来が楽しみです。私はiPhoneを使っています。ジョブズが好きだったからです。しかし,この本を読んでジョブズの化けの皮が剥がれました。世の中こんなものでしょうか?

Hiro
Hiro

最後まで読んでいただき,ありがとうございました。

資産形成は,投資信託から。

ためて、ふやして、進化する。ひふみ投信

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