GAFAとは
GAFAとは,グーグル,アップル,フェイスブック,アマゾンの頭文字を組み合わせた造語です。「この4社は世界征服をすでにしてしまった」と筆者は書いています。内容を簡単に紹介してみます。以下の文章は,全て私が本から適当に抜粋したものです。
4.グーグル――全知全能で,無慈悲な神
グーグルが現代の神と呼ばれる理由の1つは,グーグルが私たちの心の奥底にある秘密を知っているからだ。グーグルは透視能力を持ち,私たちの思考と意図の記録をつける。質問することによって私たちはグーグルに,司祭やラビ,母親,親友,医師にさえ話さないことを告白する。昔のガールフレンドをネットストーキングする。なぜばかなことをするのか考える。不健全なフェティシズム(例えば足だけに執着する)を持っているか調べる。何であれ私たちはグーグルに打ち明ける。その頻度でそのレベルの質問をされたら,どれほど理解のある友人であろうと引いてしまうであろう。
オーガニック検索(広告の影響をうけない)
グーグルは2つのやり方を採用している。オーガニック検索(広告の影響をうけない)は中立性を維持し,有料コンテンツでは広告料を取れるようにした。これで文句を言う人は誰もいない。アップル以前にもパーソナルコンピューターがあり,アマゾン以前にもオンライン書店があり,フェイスブック以前にもソーシャルネットワークがあったように,グーグル以前にも検索エンジンはあった。アスク・ジーブスやオーバーチュアがそうだ。一見どうということのない1つか2つの特徴が同業他社との運命を分け,四騎士は世界の覇者となった。アップルⅡではジョブズのデザインとウォズニアックのアーキテクチャ。アマゾンなら評価とレビュー・システム。フェイスブックなら写真。そしてグーグルの一番の特徴といえば,上品でシンプルなホームページと,検索結果が広告の影響を受けないオーガニック検索だった。20年たったいまとなっては,これらの2つは大したことではないと思うかもしれない。しかし,その当時は衝撃的だった。グーグルのカラフルなホームページは,洗礼を受けたばかりの初心者に対してこう呼びかける。「さあ,やってみなさい。知りたいことを何でも打ち込みなさい。何の仕掛けもないし,特別な技術は必要ない。私たちがすべて面倒を見る。」そして,一番お金になる答えではなく,純粋に一番いい答えが得られるとユーザーが気づいたとき,それはまるで――聖書のたとえを続けるなら――自分たちが道,真実,そして光を見いだしているような気がした。信頼の絆が生まれ,それは1世代たっても変わることがない。こうしてグーグルは,四騎士で一番影響力を持つ企業となった。
アルファベット社とは
グーグルがどのように運営されているか説明できる人はほとんどいない。アルファベット社とは正確には何なのか。アルファベットは2015年に法人組織化され,グーグルはその子会社の1つである。グーグル・ベンチャーズ,グーグルX,グーグル・キャピタルも同様だ。アップルがどんな会社かはみんな知っている。コンピューター・チップを使って美しいものをつくっている会社だ。アマゾンでは膨大な数の商品を低価格で買える。そして巨大な倉庫で人間(ロボット)が品物を選び,梱包し,すばやく客に届ける。フェイスブック?友だちのネットワークが広告につながっている。しかし巨大な検索エンジンを“持っている”持ち株会社の内部で何が起きているのか,理解できる人はほとんどいないのでないか。
映画『マイノリティ・リポート』の設定
2002年のトム・クルーズ主演の映画『マイノリティ・リポート』の設定はこうだ。突然変異によって生まれた3人の“プリコグ”には未来が見え,犯罪を予測できる。警察はそれをもとに,犯罪が実際に起こる前に介入する。プリコグのうち1人は他の2人よりも未来がよく見え,ときには隠れている別の未来まで見える。彼女に見える未来像は“マイノリティ・リポート”として封印される。グーグルはその有能なプリコグだ。次にあげるのは,誰かが殺人を犯す前にグーグルに質問し,(残念ながら)犯罪が起きたあとに当局が発見した書き込みである。
「首をへし折るには」
「誰かにむかついたら殺していいか」
「人を殺すと,だいたいどのくらいの刑になるのか」
「ジゴキシンの致死量」
「寝ている人間を殺して,殺人と疑われない方法はあるか」
検索クエリを支配しているAIと,私たちの動きを含めたデータの流れ。それを効率的に活用して,犯罪,病気,株価を予測できるようになったとき,そのような事態が起こるだろう。スマートフォンに保管されていた情報で,犯罪者が捕まる可能性はすでに生じている。あなたの最近のグーグル検索履歴を見てほしい。誰にも知られたくないことをグーグルには打ち明けているはずだ。(神様以外)誰も自分の考えを聞く者はいないと,私たちは無邪気にも信じている。しかしはっきり言っておこう。グーグルは聞いているのだ。
意欲的な戦略
グーグルは,裏ではビズネス史上でも特に意欲的な戦略を進めている。それは世界中のすべての情報を整理することだ。特に現在ウェブ上に存在する。あるいはウェブから移動できる,あらゆる有用な情報を捕獲して管理することだ。同社はそれにひたむきに取り組み,ついにそれを実現した。まずすでにウェブ上にある情報から始め,それを管理する門番になった。その後,すべての場所(グーグルマップ),天文(グーグルスカイ),地理(グーグルアース,グーグルオーシャン)の情報を集めた。その後はすでに絶版になっている書籍コンテンツと,報道データを集め始めた(グーグル・ライブラリ・プロジェクト)。人目のつかないところで行われるという検索の性質を使って,グーグルは世界中のすべての情報をこっそり集めている。その結果,グーグルによる知識の支配が完成し,他企業の参入はきわめて困難になった。そのため,この状況はこの先何年も続く可能性がある。
規制?
地球上のすべての企業が,デジタル世界の中枢に位置するグーグルの立場を羨望している。しかし現実はそれほど気楽なものではない。会社がいずれ古くなることは別にしても,国会と司法省が検索エンジンを公共事業として規制するようになるかもしれない。
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いかがだったでしょうか。分かりにくい点があったと思いますが,私にもよくわかっていません。結局,グーグルは広告費で稼いでいるということでしょう。グーグルは,政府から目をつけられないように無償でいろんな情報を開示しています。さきほどの地図や地理,天文がそうです。誰にも未来のことはわかりませんが,グーグルを止めるのは各国の政府かもしれません。グーグルを独占企業として,検索エンジンをそっくりそのまま公共事業に切り替えることができるのか,分かりません。しかしこれから先,各国政府のグーグルへの風当たりは益々強くなっていくと思います。グーグルはどう対処していくのでしょうか。
最後まで読んでいただき,ありがとうございました。