小学6年生「分数のわり算」の意味と教え方
小学6年生の算数の学習に「分数のわり算」があります。ある先生に「どうやって「分数のわり算」を教えたらいいですか」と,質問されました。また,「分数のわり算」の教え方が難しい,という話をよく聞きます。そこで,どのように「分数のわり算」を教えたら子どもが理解できるようになるのか,あるいは子どもにとって分かりやすいのか,自分なりに考えてみました。これから私が紹介する方法は,仮設実験授業や水道方式,新居信正さんから学んだものです。間違っている部分あるいは,おかしい部分がある場合は,教えてください。よろしくお願いします。
「分数のわり算」を教える場合,自然数のわり算と分数や少数のわり算とわり算の意味が大きく違います。まず,そこをはっきりさせたいと思います。
1.自然数を使ったわり算の意味
自然数でのわり算の意味は,文字通り<分ける>という意味です。例えば,3人で分けるとか,4個ずつ分けるとか,の意味になります。<分ける>という意味について,詳しく説明します。
自然数による一般的なわり算は,等分除と包含除の2つの意味があります。ひとつずつ考えてみましょう。
等分除とは,全部の数を同じ数ずつ分けるという意味です。
例題を解いてみましょう。
式 15÷3
図 ○○○○○○○○○○○○○○○
○○○○○ ○○○○○ ○○○○○
答え 一人分は,5個
計算での答えの求め方は,次のようになります。
3の段のかけ算をして15個になる数が答えです。
- 3人×1個=3
- 3×2=6
- 3×3=9
- 3×4=12
- 3×5=15
包含除とは,全部の数を何個かずつに分けるという意味です。
例題を解いてみましょう。
式 15÷3
図 ○○○○○○○○○○○○○○○
○○○ ○○○ ○○○ ○○○ ○○○
答え 5人に分けられる
計算での答えの求め方は,次のようになります。
3の段のかけ算をして15個になる数が答えです。
- 3×1=3
- 3×2=6
- 3×3=9
- 3×4=12
- 3×5=15
2.小数を使ったわり算の意味
<小数でわる>わり算の意味は,1当たり量を求める計算になります。例えば,0.4gが2,000円の金があるときに,この金1gでは何円になりますか,という問題の場合は,わり算を使います。
式にすると次のようになります。
式 2000円÷0.4g
<小数でわる>わり算の意味を説明する前に,<整数でわる>わり算の意味について例題で説明します。
式 480円÷8m
1m当たりの金額を求めるためには,8mの金額である480円を8mでわると,1mの値段が求められます。
答え 60円/m(1m当たり60円)
計算での答えの求め方は,次のようになります。
8の段のかけ算をして480円になる数が答えです。
- 8×10=80
- 8×20=160
- 8×30=240
- 8×40=320
- 8×50=400
- 8×60=480
次に<小数でわる>わり算の意味について例題で考えることにします。
この場合も<整数でわる>わり算と同じように,次のわり算の式で答えが求められます。
式 120円÷0.2
1m当たりの金額を求めるためには,0.2mの金額である120円を0.2mでわると,1mの値段が求められということです。
図で表すと,次のようになります。
ここでは,いきなり120円÷0.2の計算をしないで,解き方を考えてから答えを出してみます。
0.2mの何倍が1mになるかというと,1m÷0.2m=5倍
つまり0.2mの5倍が1mということです。
ということは,1mあたりのこの針金の金額は,120円×5=600円,ということになります。
これを式に表すと,
120円×(1÷0.2m)
=120円÷0.2m
=600円/m
となります。
つまり120円を0.2mでわると,1mの値段が求められるということです。
別の考え方として,
例えば3.4mの長さの針金が1360円であれば,この針金1mの値段は,次のように求められます。
1mの値段を〇円とすると,
〇円/m×3.4m=1360円
という式になります。
つまり,
〇円/m×3.4m÷3.4m → 1360円÷3.4m
3.4m÷3.4m
=1なので
〇円/m=1360円÷3.4m になります。
ということは,1mの値段は次の式になります。
1360円÷3.4m
式 1360円÷3.4m
で答えが求められます。
計算すると,
答え 400円 になります。
以上を踏まえて分数のわり算について考えることにします。
3.分数のわり算の意味 その①
分数のわり算の意味は,小数のわり算の意味と同じです。<分数のわり算>の意味は,1当たり量を求める計算になるからです。
例題で考えることにします。
1dl当たりの広さをたずねているので,式は次のようになります。
式 4/5m2÷2/3dl
と,なります。
1dl当たりの広さを求めるためには,広さを〇dlでわり算をすれば求められるからです。
図で表します。
黄色の部分がこの2/3dlのペンキで塗れる範囲です。
次の図は,2/3dlのペンキで4/5m2の広さを塗れるということを黄色で表しています。
(図の中のm2は,平方メートルを表しています)
次の図の緑色の部分は,1/10m2を表しています。(m2は,平方メートルを表します)
黄色の部分は,8/10m2つまり4/5m2を表しています。(m2は,平方メートルを表します)
このペンキ1dlでは,次の黄色の部分だけ塗ることができます。
1/10m2が12個あるので,このペンキ1dlで12/10m2塗れることになります。
なので,
答えは 6/5m2 になります。
つまり,緑色の部分は1/5×1/2 で1/10m2
黄色の部分は 1/10 が4×3 で 緑色の部分が12 個あることになります。
ということは,4/5m2÷2/3dlの計算は,
4/5×3/2の計算をすると答えが出せることになります。
例題3.の式と答えは,次の通りです。
式 4/5m2÷2/3dl
答え 6/5m2/1dl
何か,わかったような,わからないような???感じなので,別の考え方でお伝えします。
4.分数のわり算の意味 その②
ここでは,計算式だけで分数のわり算をします。
最後に,計算式をボードに書いてまとめます。
おそらく,その方が分かりやすいと考えます。
ここでは,次の2つの式を使います。
◆÷〇=◆/〇 と,
◆/〇=◆×△/〇×△ です。
◆÷7/5=◆/7/5
◆/7/5=◆×5/7/7/5×5/7
◆×5/7/7/5×5/7=◆×5/7/1
◆×5/7/1=◆×5/7
よって,
◆÷7/5=◆×5/7 と同じになりました。
この計算についてボードを使って表すと,次のようになります。
分数÷分数も同じようにできます。
最後に,計算式をボードに書いてまとめてみます。
4/5÷2/3=4/5 / 2/3
=4/5×3/2 / 2/3×3/2
=4/5×3/2 / 1
=4/5×3/2
よって,
4/5÷2/3=4/5×3/2 になりました。
この計算についてボードを使って表すと,次のようになります。
最後に,分数÷分数について簡単な言葉にまとめます。
と,いうことになります。
以上で,私の「分数のわり算」の教え方の説明を終わります。
最後まで読んでいただき,ありがとうございました。