Hiro
はじめに,竹村公太郎(たけむら こうたろう)さんの略歴を本書より紹介します。
1945年生まれ。横浜市出身。1970年,東北大学工学部土木工学科修士課程修了。同年,建設省入省。以来,主にダム・河川事業を担当し,近畿地方建設局長,河川局長などを歴任。2002年,国土交通省退官。現在,リバーフロント研究所代表理事及び日本水フォーラム事務局長。社会資本整備の論客として活躍する一方,地形・気象・下部構造(インフラ)の視点から日本と世界の文明を論じ,注目を集める。
著書に,『日本文明の謎を解く』(清流出版),『土地の文明』『幸運な文明』(以上,PHP研究所),『本質を見抜く力―環境・食料・エネルギー』(養老孟司氏との共著/PHP新書)などがある。
Hiro
本書は,竹村公太郎さんの3部作と言われている『日本史の謎は「地形」で解ける』,『日本史の謎は「地形」で解けるー文明・文化篇』,『日本史の謎は「地形」で解けるー環境・民族篇』の中の1つになります。
今回は本書にある18章の中から私が,
Hiro
これは,自分にはできない素晴らしい考え方だ!
すごすぎる!
と,思うもの3つ(+1)を厳選しました。厳選した考え方の中から私が勝手に問題を作りました。あなたに問題を答えていただく中で,本書の素晴らしさをお伝えできたらと思います。正解は,竹村公太郎さんの考えなので気楽に答えてくださいね。最後まで読んでいただけるとうれしいです。どうぞよろしくお願いいたします。
Hiro
問題1.なぜ勝海舟は「治水と堤防」について明治新政府に怒ったのでしょうか。竹村公太郎さんは,どう考えたでしょか。次の選択肢から1つ選んでください。
予 想
ア.新政府の堤防の造り方が丈夫ではないことに怒っている。
イ.江戸時代の治水の考え方を新政府が引き継いでいないことに怒っている。
ウ.新政府が「治水の原則」を守っていなことに怒っている。
エ.その他

Hiro
正解は,ア.新政府の堤防の造り方が丈夫ではないことに怒っている,です。ただし,イ.とウ.を選んでいただいても間違いではありません。
Hiro
では,江戸時代の<治水>とはどういうことなのか,竹村公太郎さんに解説していただきます。少し長くなりますが大事なことですので,本文から抜粋します。
江戸時代の堤防の造り方は,明治新政府のやり方と違った。江戸幕府は,堤防の基礎に注意した。堤防を築造するときは,基礎を2m近く堀り,底から段々と締め固めたうえで,やっと外に顔をだしたものだ。堤防が外に現れたら,ただ泥土を積み上げ,柳を植えたりしておくだけだった。
沖積平野の堤防は「大蛇」の上に乗っている。治水とは,堤防の足もとに潜んでいる大蛇との闘いなのだ。
下の図は,徳島県阿南市を,西から東へ流下する那賀川の平面図である。那賀川は国が直轄管理する河川で,太い線がその堤防である。

次の下の図は,那賀川の地質図である。堤防が築造される以前の那賀川は,山地から扇状地へ出ると一気に広がり,沖積平野を形成しながら「八岐大蛇(やまたのおろち)」のような姿で海に流れ出ていた。これは那賀川だけではない。沖積平野の河川はすべて同じ状況である。

21世紀の今,「大蛇」の旧河道を目にすることはない。しかし,間違いなく旧河道は,今もこの堤防の下に横たわっている。旧河道は水が通りやすい砂礫層や湿地である。洪水の濁流は隙あらば地下から噴き出そうと,虎視眈々と狙っている。堤防から濁水が噴き出せば,堤防は決壊にいたる。
なぜ「決壊」と書くのか?
堤防の破壊を「欠壊」と書かずに,「決壊」と書くのには意味がある。「決」という字だけで,「堤防が崩れる」という意味があるのだ。「央」の一部を削り取られれば「夬」となる。漢字辞典を見ると,「夬」一字で「かける」という意味をもっている。「央」の一部を削られて「夬」になる。削り取るのは「水」の「サンズイ」だ。だから,「堤防のケッカイ」を「決壊」と書く理由はここにある。そして,「決定」という言葉も堤防に関係している。どこから切れるか分からない長い堤防。あるとき,河川の洪水が急に低下する。どこかの堤防が切れたのだ。どこか分からなかった堤防の決壊場所が,決まったのだ。つまり「決定」したのだ。
治水の2つの大原則
治水の原則は「1cmでも10cmでも洪水の水位を低くする」ことだ。そして「水圧がかかる堤防の基礎は,深く掘って強化する」ことであった。
下の図は,利根川の堤防の地質断面図である。この図で「旧堤」とあるのが,江戸幕府が築造した堤防である。

この江戸時代の旧堤では,下部はきちんと掘り込まれ,堤防が築造されている。堤防築堤の原則「基礎を掘って強化する」は守られている。ところが明治以降,この江戸の堤防を芯にして,明治,昭和,平成と堤防は嵩上げされている。治水の原則の「1cmでも10cmでも洪水の水位を低くする」ことからは反している。上の図は,明治以降の「近代治水の誤り」をはっきりと示している。勝海舟は,この治水の原則に反した明治政府を手厳しく非難しているのだ。
「二段構え」だった江戸の堤防
洪水から守るのは,堤防の築造時の注意だけではない。まだ他の仕掛けが必要で,それを利根川の例で説明しよう。
川に近い堤防の内側には田畑を配置し,その田畑の向こうに大きく最も堅固(けんご)な第二番目の堤防を築造したのだ。これは,万一,第一番目の堤防が決壊したしたときでも,2つの堤防の間の田畑で洪水は分散して流れる。だから,第二番目の堤防は,どんなときでも壊れないように丈夫にしたのだ。江戸幕府は,この2つの堤防に挟まれる田畑は,農民たちからは年貢を取らずにただで耕作させていた。それをどうだ。明治維新の新政府は,この堤防に挟まれた田畑を測量して,いちいち税金を取ってしまった。
「洪水位」を上げてしまった明治政府
勝海舟がいう江戸の治水方式を図で示すと下図となる。

堤防そのものはあまり高くないが,一番堤の奥にさらに強固な二番堤が控えている。一番堤と二番堤の間は,普段は田畑であるが,いざという大洪水のときはここにも水が流れる。川の流れの幅は広がるので,洪水の水位も低くなり,流れは穏やかになる。江戸時代,一番堤と二番堤の間の田畑は水に浸かったが,結果として二番堤の向こうの多くの田畑を救った。その公共性から,江戸幕府はこの田畑から年貢を取らなかった。ところが明治新政府は,ここに課税するという挙に出た。その様子を下図に示した。

新たに課税された地主たちが,二番堤の向こうと「同じ安全の権利」を主張するのは当然だ。
一番堤を嵩上げして,自分たちの土地に洪水が来ないようにしろ!
一番堤の洪水があふれた場合,いつまでも土地が浸水しているのはいやだ。二番堤を撤去しろ!
税金を払った人々の要求は正当だった。明治政府はやむをえず一番堤で洪水を押し込もうと,一番堤を嵩上げし,二番堤を撤去していかざるをえなかった。その結果,現代の堤防は下図になる。

いつしか洪水は住宅よりはるかに上を流れ,堤防に当たる力は凄まじく大きくなってしまった。この図を見れば,明治の治水が江戸の治水に比べて,劣っているのは論ずるまでもない。
「治水の原則」は未来も変わらない
未来の治水は,税収欲しさの短期的視野の明治政府の治水であってはならない。治水の原則は,何百年前も何百年後も変わらない。「1cmでも10cmでも洪水の水位を低くする」ことだ。そのためには,1本の堤防の中に洪水を押し込めるのではなく,江戸時代のように広いゾーンで洪水を流し,洪水位を下げておくことである。勝海舟は治水の専門家ではなかったが,「治水の原則」を会得していた。
Hiro
江戸時代の治水の考え方がなぜ明治新政府に引き継がれなかったのでしょうか。おそらく,治水の原則を知らない人々が短絡的に税収をあげる方法を考えたに違いないと私は考えています。新政府の中に勝海舟のような人が一人でもいたなら,今の治水行政と違ったものになっていたかもしれません。
Hiro
江戸幕府の素晴らしさを1つ知ることができました。こんな歴史が日本の教育から抜け落ちているのは,もったいないことです。もしかしたら,今の日本政府は,これと似たようなことをそれぞれの専門的な考え方が必要な世界でトンチンカンなことしているのかもしれません。(岡田斗司夫氏は,「今の官僚が進める民主主義は,どの国においても正常に機能していない」と言います。「馬鹿な国民が馬鹿な政治家を選んでいる」とも言っています。)
Hiro
問題2.なぜ江戸時代には,車の動力が「人間」に退化したのでしょうか。竹村公太郎さんは,どう考えたでしょか。次の選択肢から1つ選んでください。
【問題の補足】 西欧の発展は,道路ネットワークに支えられていました。2000年以上,道路ネットワーク上で交流の運搬を担ったのは,馬車や牛車でした。19世紀に蒸気機関が発明されました。馬車や牛車から自動車への進化は,必然の現象でした。明治になり,日本では牛車を制限し「人力車」を発明しました。
予 想
ア.日本では,人の仕事がなくならないようにしたから。
イ.日本では,もともと道路事情が悪かったから。
ウ.日本人は馬や牛の去勢を徹底しなかったから。
エ.その社会は,その民族や国民の歴史や文化に強く影響されるから。
エ.その他

Hiro
正解は,ウ.日本人は馬や牛の去勢を徹底しなかったから,になります。ですが,エ.の答えも広い意味では,間違いではありません。それでは,竹村公太郎さんの答えについて解説をしていただきます。解説は,本書から抜粋します。
中国から馬車や牛車が入ってきた。その際,車の動力となる馬や牛を去勢する技術も一緒に入ってきた。しかし,日本人は馬や牛の去勢を徹底しなかった。日本人は馬や牛を道具として扱わなかった。馬や牛に名前を付けて,家族の一員として扱ってしまった。家族になれば当然,去勢を施すなどということはできない。去勢しない馬や牛は扱いがたい。それでも,馬はどうにか調教によって人に馴染む。しかし,牛は馬のように調教が効かない。普段の牛は草食でおとなしいが,突っ走りだしたら止まらない。牛は臆病なためか,外部の刺激に対して敏感だ。とくに去勢しない牛は危険である。ちょっとした刺激で暴れ出す。去勢しない牛を,車で使うなどとは危険極まりない。下図は,牛が暴れている代表的な場面である。

下図は,6人の車副(くるまぞえ)が牛に付き添っている場面である。

位の高い貴族の牛車では,大勢の人間がたった1頭の牛を取り囲み,御していなければならなかったようだ。牛は役に立つが,厄介者であった。牛車によって多くの人が傷つき,物が壊された。都会と牛車は相性が悪く,牛は少しずつ農村部へと追いやられていったのだ。
江戸幕府が牛車を厳しく制限した理由は,簡単である。それは「牛車が危険だった」。単にそれだけであった。江戸時代における代表的な車は「大八車」であった。中世から近世の日本で,車は進化するどころではなかった。逆に,車の動力は「牛」から「人間」に大きく退化してしまっていた。
明治になり「人が乗る車」という概念が,ヨーロッパから入ってきた。そこで日本人がやったことは,世にも奇妙な「人力車」という発明であった。明治の日本人にとって,車の動力は「人間」だったのだ。
Hiro
欧米人と日本人の考え方の違いから,社会の在り方も変わってしまうという典型的な例と言っていい,と私は思います。
Hiro
問題3.日本は「100年後の未来」にも希望があるのでしょうか。竹村公太郎さんは,どう考えるでしょか。次の選択肢から1つ選んでください。
予 想
ア.日本は,100年後の未来にも希望がある。
イ.日本は,100年後の未来には希望がない。
ウ.どちらともいえない。

Hiro
竹村公太郎さんの考えは,ア.日本は,100年後の未来にも希望がある,です。竹村公太郎さんが日本の未来に希望があると考えた理由を次のように書いています。日本の人口推移からみると今が人口の特異点になっていて,これから日本の人口が減少していくからです。下図を参照してください。日本の人口は,まるでジェットコースターのような軌跡になっています。

Hiro
「人口減少を恐れることはない。人口減少は悪い知らせではなく,喜ぶべきよい知らせとなる」と,竹村公太郎さんは言い切っています。ここまで日本の将来の環境条件が見えれば,準備すべきことは容易に導き出される,と書いています。その環境条件とは,次の5つです。
1.安全インフラ
2.食料自給インフラ
3.交流ネットワーク
4.水素燃料インフラと水力インフラ
5.循環社会インフラと新素材の開発
Hiro
竹村公太郎さんは,「以上のことを準備すれば,未来への希望がもてる」と,書いています。竹村公太郎さんの提案では,おそらく中途半端で日本は生き残れないかもしれない,と私は考えます。未来は誰にもわかりませんが,私なら竹村公太郎さんの考えに次の項目も一緒に考える必要があると思います。
Hiro
私は,
A:「1.安全インフラ」に対外国安全保障をいれます。日本の安全保障は,日本の政府が管理する核爆弾を保有するということです。
Hiro
B:「2.食料自給インフラ」について,今の日本のようにアメリカの衛星国のままでは,食料を自給することは,おそらく無理でしょう。先ず,日本が完全にアメリカから独立することから始めなくていけません。それには,教育が大切です。日本国としての歴史教育と仮説実験授業を核とした科学教育,日本語教育の3点が大切になってくると考えています。
Hiro
私の希望が入った予想ですが,日本で核融合が開発されて電気が無尽蔵に作られるようになり,社会が電気エネルギーだけで動くようになるようになるかもしれません。
Hiro
問題4.竹村公太郎さんは,日本は100年後の未来にも希望がある,と考えました。私(ヒロじい)は,竹村公太郎さんの考えから何を学んだと思いますか。<日本は,人口減少社会だから>以外の答えを次の選択肢から1つ選んでください。
予 想
ア.日本は,水力発電によって水素エネルギー社会が実現できるから。
イ.日本は,地球温暖化によって食料自給率100%を達成できるから。
ウ.日本は,ロボットがすべての産業と国民生活を支えるから。
エ.その他

Hiro
正解は,ア.日本は,水力発電によって水素エネルギー社会が実現できるから,です。1898年(明治31)グラハム・ベルが来日しました。東京帝国ホテルで講演をしています。その中で,ベル氏は日本について,次のようなことを述べています。(下図の写真は,グラハム・ベルです)

(ベル)日本を訪れて気がついたのは,川が多く,水資源に恵まれているということだ。この豊富な水資源を利用して,電気をエネルギー源とした経済発展が可能だろう。電気で自動車を動かす,蒸気機関を電気で置き換え,生産活動を電気で行うことも可能かもしれない。日本は恵まれた環境を利用して,将来さらに大きな成長を遂げる可能性がある。
Hiro
日本の地形と気象こそが,無限のエネルギーの宝庫であることを,ベルは見抜いていたのです。既存ダムの運用の変更と既存ダムの嵩上げを北海道から沖縄まで全てのダムで実施し試算すると,新たに出力930万kw,324億kwhの水力発電の可能性があると試算できるそうです。100万kwの原子力発電所の9基分だそうです。未来社会において,全く新しいエネルギー(例えば核融合)が誕生しているか,誕生していないかにかかわらず,日本列島は永遠に水力という太陽エネルギーに満たされていくのです。
Hiro
何ということでしょう。日本には何ひとつ資源が無い国だと思っていました。ところが,見方によって日本は資源大国だと言えないこともないことがわかりました。これは,とんでもないことです。未来の日本のエネルギーは全て水力発電による電気でまかなえるようになるかもしれません。
Hiro
Shige
Hiro
私のように高齢(2026年現在68歳)になってくると,
「一人で生活するよりも,パートナーと一緒のほうがより楽しいのではないか!」
と,私は思います。
Shige
実際,私たちは,2人で会話をしたり旅行をしたりして楽しんでいます。
そんな相手がいなければどうするのか?
そんなとき,<相手を見つける‼>方法が,あります!
Hiro
今では,ネットワークを使えるので自分の相手を見るけるハードルは低いかもしれません。例えば,下のサイトを使うことも私は,アリだと思います。
どうでしょうか?
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