
トッド氏は,その国の人口や死亡率,家族関係の在り方などを研究することによってその国や世界の将来を予測できる数少ない卓越した社会科学者である,と私は考えています。
先日ふらっと立ち寄った本屋さんにあった本を見ると,日本の現状をよくとらえられているなと感じたので,このレポートにまとめてみました。

この本を読んでいく前提として,この本の中から私が知らなかった現実を少し書いてみます。内容は全てこの本に書かれていたものです。

ここで,問題です。
問題1.ちなみに日本の乳幼児1000人あたりの乳幼児死亡率(2020年)はいくつだと思われますか。

正解は,ア.1.65です。
10万人あたりの乳幼児死亡率は,現在,米国の方がロシアより高くなっています。(米国14.5人/ロシアはおそらく11.5人)。
10万人あたりの米国刑務所収監率に至っては655人という異常値です。(ロシア328人)。

ここで,問題です。
問題2.ちなみに日本の10万人あたりの刑務所収監率はどのくらいだと思われますか。

答えは,ア.37人です。
要するに,冷戦の敗者(ロシア)が安定化し,勝者(米国)が不安定化しているのです。敵対関係はむしろ「有益」な効果をもっていたのです。共産主義との競合のなかで,西洋諸国は,完全雇用をめざすケインズ政策を実施し,社会福祉を充実させ,リベラリズムを野放しにしませんでした。

明石市の市長が子育てを支援して,出生率が上がったようなニュースを見ました。
―ネット記事:こうした施策を続けるなかで、明石市では、結果として市民の住みやすさなどが向上し、人口減が下げ止まって9年連続の過去最高を更新。出生率も上昇しているといいます。泉市長は子ども政策が結果として地域経済の活性化につながり、税収増や借金返済など、行政の財政健全化に結びついたと国会で明言しました。

前置きが長くなりましたが,さっそく本文に入っていきましょう。

ここで,問題です。
問題3.産業空洞化で新型コロナの被害が大きかった先進国がすぐに取り組むべきことは,何であるか,とトッドは書いているでしょうか。

答えは,イ.産業構造を再構築すること,です。
トッドは将来の安定のために,産業構造を再構築するべく国家主導で投資をしなさいと書いています。問題は「生産力」だからです。

ここで,問題です。
問題4.社会の活力を考える上で,トッドが考える日本の最大の危機とは何でしょうか。

答えは,ア.の少子化です。
“社会としての活力”すなわち“生産力”は,「老人の命を救う力」よりも,「次世代の子どもを生み育てる力」にこそ現れる,とトッドは書いています。

ここで,問題です。
問題5.日本の核武装について,トッドはどう考えているでしょうか。

答えは,イ.日本は,核武装するべきだ,になります。
トッドは米国の「核の傘」は存在しないと明言しています。核は自国を保護する以外は用途がないのです。核は例外的な兵器で,これを使用する場合のリスクは極大です。ゆえに,核を自国防衛以外のために使うことはあり得ません。
現代日本の核保有は,かつての大日本帝国の復活も,極右の勝利も,意味しません。むしろ日本がある意味で非常に日本らしい生き方をしていた時代,自己充足的に世界から距離をとって平和に存在し得た時代,つまり鎖国時代のあり方に日本を近づけるでしょうと,書いています。

ここで,問題です。
問題6.英米はこれからも世界をけん引するだろう,とトッド氏は述べています。それはなぜでしょうか。選択肢から選んでください。

なぜ,英米は17世紀以降,世界史をけん引する存在になったのでしょうか?
そして,今後もそうであり続けると考えるのはなぜでしょうか?

トッド氏は次のように書いています。抜き書きしてみます。
その理由は,経済学者シュンペーターの「創造的破壊」という概念と深い関わりを持っています。彼は『経済発展の理論』(岩波文庫)で資本主義の本質を考察し,「創造的破壊」を起こさなければ資本主義はダイナミックに動かない,という結論に至りました。

「創造的破壊」とは,自分が作り出したものを自分自身で破壊し,新しいものを創ることです。英国人と米国人はそれに長けているのです。しかし,それはフランス人,ドイツ人,日本人には難しい。

ではなぜ,英米は資本主義をうまく機能させる「創造的破壊」が得意なのか。その深い理由は,私(トッド)の考えでは,英米の伝統的家族形態,すなわち「絶対核家族」にあります。絶対核家族においては,子どもは大人になれば,親と同居せずに家を出ていかなければならない。しかも,別の場所で独立して,親とは別のことで生計を立てていかなければならない。これらのことが,英米の人々に,シュンペーターの言う「創造的破壊」を常に促していると考えられます。
答えは,ア.英米は創造的破壊ができるから,です。

2015年の時点で,英語圏人口は4億5000万人,これに対して英国を除いたEU圏の人口は4億3800万人でした。これが2030年には,英語圏は5億6000万人,EU圏は4億4400万人になると予想されています。

ここで,問題です。
問題7.経済発展していない日本は,これから何をすればいいのでしょうか。トッド氏が提案することは次のうちどれでしょうか。一番大切な選択肢ひとつを選んでください。

「移民受け入れ」と「少子化対策」は,二者択一の問題ではありません。双方を同時に進める必要があります。とトッド氏は書いています。また一方では,次のようなことも書いています。

トッド氏は次のように書いています。
移民を受け入れるためには,出生率を上げなくてはいけません。低出生率のまま移民受け入れのみを進めてしまえば,若い世代において,「ホスト国住民」と「移民」との人口バランスが崩れてしまうからです。そうなると,移民の健全な社会統合もできなくなります。移民を受け入れるためにも,出生率を上げ,若い世代を増やす必要があるのです。

ということで正解は,イ.の出生率を高めるにしました。ア.も間違いではありません。

ここで,問題です。
問題8.トッド氏は日本の少子化の原因を何だと考えているでしょうか。

答えは,イです。
トッド氏はこの本の中で,直系家族は,数世紀という長い時間をかけて,ゆっくり定着していったのですが,知識や技術の伝承に長けている家族システムなので,これが広がる過程で社会が飛躍的に進歩します。
直系家族とは,継続性と柔軟性を兼ね備えたダイナミックな社会なのです。ところが,直系家族がいったん完全に確立してしまうと,今度は社会全体が継続性だけを重視するようになり,“化石”化の傾向に陥りがちなのです。と,書いています。
※

この本を読み進めて気が付いたことは,トッド氏がどこかで発表した文章を寄せ集めた本だったということです。文章の寄せ集めの本にしているので,各章ごとは面白いのですが各章の繋がりがなくて説得力に欠けるという点が難点でした。
このことが,問題の流れに一貫性がない理由になります。

そうはいっても,トッド氏の人口や出生率,死亡率などからみた人間社会は法則的に動いているようにみえます。これからも活躍して世界の未来を予想し続けてほしいと思いました。

最後まで読んでいただき,ありがとうございました。

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