
1991年12月26日にソビエト社会主義人民共和国が崩壊して,ロシア連邦やウクライナなどの15の独立国に分割されました。この時の私は,「あー,これで第三次世界大戦は起こらないに違いない。よかった,よかった。(笑顔)」と思いました。このとき,私は33歳でした。しかし,・・・

それ以降も戦争は続きました。大きな戦争・紛争だけでも以下のようにたくさんあります。
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湾岸戦争(1991)
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ユーゴスラビア紛争(1991−2001)
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ソマリア内戦(1991−)
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チェチェン紛争(1994−2009)
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ルワンダ内戦(1990−19994)
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アフリカ大湖沼地域紛争(1996−2003)
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アフガニスタン紛争(2001−2021)
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イラク戦争(2003−2011)
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シリア内戦(2011− )
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ロシアによるウクライナ侵攻(2022− )
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そして,イラン戦争(2026− )などです。

これらの戦争・紛争とあわせて1991年以降では,62もの数に上ります。世界を見れば,戦争だらけだったことがわかります。私の考えは,無知そのものだったのです。

さて,ソ連の崩壊から35年,第三次世界大戦がもうすでに始まっている,というトッド氏の見解についてあなたと一緒に考えていくことにしましょう。

いつものように私がつくった問題に答えていただきながらトッド氏の考えに迫っていきます。どうぞよろしくお願いいたします。問題のすぐ後には,正解とその説明が書いてありますので,できるだけ見ないように気を付けていただけたら,と思います。

早速,ここで問題です。


正解は,ウ.ロシアとアメリカの間の軍事的衝突がすでに始まっていると考えることができるから,です。アとイも間違いではありません。

トッド氏は,次のように書いています。

今の状況は,「強いロシアが弱いウクライナを攻撃している」と見ることができますが,地政学的により大きく捉えれば,「弱いロシアが強いアメリカを攻撃している」と見ることもできるのです。アメリカがこれまで行ってきた戦争は,弱小国に対する戦争でした。それに対して,今回,大国のロシアが,事実上,アメリカを敵に回しているわけです。その意味で,これは大きな歴史的転換です。

要は,直接的ではないにしてもロシアとアメリカが戦っているということで,トッド氏は「すでに第三次世界大戦は始まっている」ということを言いたいのではないでしょうか。

ここで,問題です。


正解は,ア・イ・ウ,すべてです。トッド氏によると,ロシアは,アメリカに対抗しうる勢力であり続けようとしたわけです。だからこそ,アメリカによるウクライナの「武装化」がこれ以上進むことを恐れ,ロシアは侵攻を決断したという訳です。

このウクライナ戦争は簡単に避けられた,とトッド氏は言います。

この戦争は,「ウクライナの中立化」という当初からのロシアの要請を西側が受け入れていれば,容易に避けることができたのです。

ここで,問題です。


正解は,ア・イ・ウ,のすべてです。トッド氏は,次のように書いています。

アメリカの経済(消費)を維持するために,アメリカは,世界の富への統制力を政治的・軍事的に確保しなければいけないという必要性があります。アメリカ国民の生活水準を維持するために不可欠な商品とカネは,ユーラシアから流入する仕組みになっているからです。要するにヨーロッパとロシアの接近,日本とロシアの接近は,アメリカの戦略的利益に反するのです。そこで平和的関係が築かれてしまえば,アメリカ自身が“用済み”になってしまうからです。アメリカ軍の“プレゼンス”を維持するために,言い換えれば,ユーラシアにおいてアメリカ軍が“必要”される状況を無理にでも維持させるために,アメリカは,ユーラシアにおける軍事的・戦略的緊張を維持させる必要があるというわけです。「世界の安定にアメリカが必要」というレトリックが真に言わんとするところは,「世界の不安定がアメリカには必要」ということなのです。

なるほど,そういう見方でみると私の頭はすっきりしました。

アメリカは世界の警察を自認していましたが,正にアメリカは自国のために世界を動かしていたのです。自国のために戦争を仕掛けていたのです。日本やドイツ,中東,ヨーロッパに対してアメリカにとって都合のいいように対応してきたというわけです。

ここで,問題です。


正解は,イ.ドイツと日本という重要な「保護領」を維持するためのもの,です。つまりアメリカの支配を維持するためのものなのです。

トッド氏は,次のように書いています。

アメリカが「反ロシア」という立場に立つ動機の大部分も,ドイツと日本をロシアから遠ざけ,アメリカ側に引き留めることにあるのです。

現在,日本も対ロシア制裁に加わっていますが,この危機が去った後も,中国とロシアは同じ場所に存在し続けます。台頭する中国と均衡をとるためには,日本はロシアを必要とする,という地政学的条件に変わりはありません。西側に追い込まれたロシアが中国と接近し,中国に軍事技術を提供することこそ,日本にとっての悪夢です。ロシアと良好な関係を維持することは,あらゆる面で,日本の国益に適います。感情的にならざるを得ない状況のなかでも,決して見失ってならないものは,「長期的に見て国益はどこにあるか」です。

ここで,問題です。


正解は,ア・イ・ウ,のすべてです。ロシア社会はアメリカ社会よりも安定しています。

トッド氏は次のように書いています。

西洋社会では,不平等が広がり,新自由主義によって貧困化が進み,未来に対する合理的な希望を人々が持てなくなり,社会が目標を失っています。この戦争は,実は西洋社会が虚無の状態から抜け出すための戦争で,ヨーロッパ社会に存在感を与えるために,この戦争が歪んだ形で使われてしまったのではないか,と思われてくるのです。方向を見失った西洋社会にとって,ひとつの“悪しき解決策”なのかもしれません。

トッド氏のウクライナ戦争への冷静な思考は,私にモノの見方はいろいろできるという認識を教えてくれています。戦争の理由を人間社会から考察している点で非常に優れた見方だと思うのですが,あなたはどう思いますか。

ここで,最後の問題です。


正解は,ア.ロシア人は,見た目は欧米人と同じなのに欧米人と同じように考えないから,です。

逆に中国人に対しては,「彼らはアジア人であり,そもそも欧米人と同じではない」と考えられているから,そこまで問題となっていないのではないか,と考えた方が自然だとトッド氏は言うのです。トッド氏は,「まるで板倉聖宣さんのような考え方をする人だな」という印象です。

最後にトッド氏の予想を書いてこのレポートを終わりにします。

今後の展開は見通しがたいのですが,すでに「世界戦争化」し,事実上,アメリカとロシアが衝突している以上,「長期戦」「持久戦」となる可能性が高いと言えます。そうしたなかで,ロシアが今回制圧した領土から出ていくことはないでしょう。先に述べたように,ポーランドによるガリツィア併合の可能性も考えられ,まさに「ウクライナの分割」が現実味を帯びてきます。

そして何よりも,戦争が長期化すればするほど,多数のウクライナ人が犠牲となり,難民として国外に逃れ,ウクライナの建物や橋は破壊されていきます。ロシアによる侵攻前に,大量の人口流出によってすでに「破綻国家」に近かったウクライナが,この戦争によって,さらに破壊されていくのです。要するに,アメリカは“支援”することで,実はウクライナを“破壊”しているわけです。戦争が終わった時,生き残ったウクライナ人たちは,どう感じるのでしょうか。

さて,どうだったでしょうか。私は,エマニュエル・トッド氏の家族形態や社会の動向から国家間の成り行きを見る洞察力に敬服しました。“あるひとつの物差しを持つこと”の素晴らしさを私たちに教えてくれているのではないでしょうか。

私たちは,原子や分子という物質の成り立ちから世界を見るという目を養ってきました。同じように,社会の最小単位である家族形態から世界を見ることができることをトッド氏が私たちに教えてくれています。これからも,今生きているこの世界のことをトッド氏の見方から学んでいきたいと思いました。

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